Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

国際関係学のススメ

生徒の研究論文@アメリカ外交政策

アメリカ外交政策の授業は順調に進んでいる。今学期は期末試験の替わりに論文の執筆を課題で出した。論文のトピックを決めるまでまだ数日残っているが、生徒の中には中々面白いトピックを提案してきている。

幾つか挙げると、

東アジアにおける中国の台頭をアメリカがどう止めるか。

EUの枠組みで米英関係がどう発展し、Brexit がそれをどう変化するのか。

アメリカはケニアとジンバブエに対して経済援助をどう使ってきており、今後どう使うべきなのか。

アメリカとスペインの関係はどう変遷してきたか。

などである。論文執筆の条件としてトピックには必ず「パズル」を入れるように言っておいた。質問形式にしておくと、それに対する生徒の研究意欲も沸き、研究の過程でその質問の答えを出すよう努力するという単純だが基本に忠実な構成で進めることができるからである。

また、論文の後半には必ずアメリカの外交政策の意味合いを考察するよう、言っておいた。これは意外と難しいエキササイズで、トランプ政権の現状を分析してのみ、完成することができる。

大学全体の研究会に出席

木曜日は一週間ぶりに職場に顔を出し、大学全体の研究会に出席した。20名ほどの教授陣が集まり、放校したアメリカ政府の機関に研究をアピール。参加者の大半は理系で気候変動やセントルイス地域の環境汚染、ドローンを用いたビジネス応用(写真下)など重要な研究を披露していた。

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文型の私は自分が進めている、東アジアの安全保障問題と中東におけるテロやゲリラ戦争の研究を発表した。参加者の反応はまずまずで、今後はこれに徐々に花が咲くことを祈っている。

今学期の授業が開始

今学期の授業が始まった。教えているアメリカ外交政策のゼミには15名が登録し、6名が大学院生。初日から中々楽しい授業をすることができた。

国際関係学に興味を持つ生徒は私の授業をリピートする傾向が強く、今回も15名のうち6・7名は既に名前も覚えている。リピーターは特に授業によく参加する傾向も強いので、こちらもやりやすい。

初日の授業ではゼミの説明や自己紹介などから始まり、徐々にエンジンをかけて現在のアメリカ外交について話を進めた。特にトランプの著書を予め宿題として出していたので、それを使って面白い意見を生徒たちから引き出すことができた。

次回の授業は2週間後だが、その時にはアメリカ外交政策に関わる主要人物の顔当てクイズを行う。14名の写真を見せて、そのうちの10名の名前と役職を正確に紙に書かせるものである。以下の写真はその中の一人。この人の名前と役職を聞いてみたら、それをすぐに言える生徒がいたので、良い意味で少し驚いた。楽しいゼミになりそうだ。

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正解はCIA長官のマイク・ポンペオ

日本の防衛政策の論文

数ヵ月前に完成した論文が専門誌に掲載されることになった。International Studies Perspectives で、内容は日本の防衛政策。またひとつ業績を積み重ねることができて嬉しい。

トランプ政権における政府職の変化

トランプ政権の不安定性は今後も続く見通しであり、悪化の一行をたどる可能性もある。それに伴い様々な変化が起きている。国務省を含む政府機関に優秀な人物が入らなくなってきているのである。

私の元同僚だったアンは政府系の奨学金を受賞し、1年間の契約で国務省で仕事をするはずだった。専門はイスラム教とアメリカの外交で、国務省の宗教と国際関係のオフィスで働くことが決まっていた。ところがトランプ政権はイスラムに対して極めて不条理な政策を発表し、国務省の予算も30%近く削減する方針を発表した。

案の定、アンは国務省での仕事を諦めた。ワシントンのシンクタンクに収まった。

この種の変化が今後アメリカの国益に有益に働くはずがない。トランプ政権内の人事は凄い勢いで変化が続いているが、この人事が安定しない限りは政策の安定も見込めない。現在ホワイトハウスで実権を握っている(はずの)ジョン・ケリー、マクマスター等の人物に少しでもまともな方向にトランプを引っ張ってもらいたい。
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