Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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政治・政策

朝日新聞「「日本国が倒れないのが不思議」 政治学者が嘆く自民党派閥と裏政治」

インタビューされている政治学者の方の意見に共感する。



日本が倒れない理由は主に2つプラスアルファ。

1.一般市民が立ち上がり政治を変えるようとする意思の欠陥。野党の不人気・不能も頻繁に指摘されるが私は同意しない。むしろ与党との癒着体制、腐敗、そして政治改革への諦め感。

2.外的脅威に対しては自衛隊と日米同盟。絶対的な平和主義の元、大量の血税を米軍に注いで守ってもらうことへの抵抗感の欠如。

日本国は倒れないし抜本的な政治改革もないが、条件が揃っている人は徐々に海外に脱出している点も大切だ。

朝日新聞「キャサリン妃が謝罪「私も時々、編集する」 写真加工疑惑の混乱受け」

このニュースを読んで感じたこと。



1.王室スタッフではなく本人が操作を認めた点。

2.他の写真も本人により編集されている可能性があるため、メディアは今頃こぞって過去の配信を再確認しているだろう点。

3.偽造の可能性を今後指摘され続ける可能性が高まった点。

4.ちなみにこのブログでは私が覚えている限り、写真の編集はしていない。編集する時間も必要もないため。

ドイツ空軍交信のリーク

この記事を読んで驚くのは、ドイツ空軍幹部トップレベルの機密会話がウェベックスで行われていたことだ。



ウェベックスは我々が普通の会話を行う交信ツールで、機密案件を協議するものではない。元々ドイツにはスパイが多く暗躍していることで有名だが、恐らくこの種のやり方は普段から行われていたのだろう。

これを読んで思い出したのが、少し前にケルンからフランクフルトまで移動する際の数十分の電車の中で聞いた話。中年の役人が日本語で、日本人の大好きな「親日派」アメリカ人の聞いたこともないネタで盛り上がっていた。機密の話ではないだろうが、日本語なので安心しきっていたのだろう。油断は大敵だ。

スーパーチューズデー後のアメリカ大統領選挙

スーパーチューズデーを経て、11月のトランプとバイデンの再戦が決まった。2016年の大統領選挙と比べて今回は私は非常に悲観的で、このブログにも書き込む意欲があまりない。

アメリカ政治を専門にする人と話をすればトランプの優勢は明らかだ。選挙人団の単純計算と、ここ数か月のトランプ再出馬の合法性の報道を照らせ合わせれば一目瞭然だからだ。先日のミシガンでの uncommitted 運動で明らかだったように、バイデンの指導力と統治能力には大きな疑問があり、民主支持者でさえもそれを実際に感じ取り投票に反映させている。

ウクライナ、ガザ、地球温暖化を含む外交問題はおろか、人種差別や移民、銃規制などの山積みの国内問題さえもバイデンは解決できない。トランプが再選される場合も同様だし、恐らく悪化することになるだろうが、アメリカ人の期待はもはやバイデン以外の方向を目指している。

文春オンライン「「TOEICは実にくだらないですね」国立大の“ギャル准教授”が日本の受験制度を破壊したいシンプルな理由」

この方のような経歴と経験を備え合わせた方の見解は日本人に非常に有益なはずだ。



英語教育に関しては考えがとても近い。

少し異なる点を一つ挙げるのならば、私は記事で強調されている自己アピールの点は特に英語の授業でする必要はなく、これは国語や道徳の授業で小学生の時点から行われるべきだと思っている。そしてそれを英語の授業で更に向上させれば、この方の仰るような人材が徐々に形成されてゆくのではないかと思う。

いずれにせよ、日本の英語教育は今後も抜本的な改革が必要だ。

イラン映画 Holy Spider を観た

映画 Holy Spider を観た。イランのことを知りたかったのと、去年カンヌで主演女優賞を受賞した女優が主演だからだ。



話の内容は割愛するが、殺人事件を扱っていることもありその性質は暗めで、夜の場面が多い。別の作品も観て理解を深めたい。

反日研究論文に直面するとき

今査読している英語論文は典型的な反日論文で、未だにこの種のスタイルが蔓延っていることを思い出させられた。

まともな論理も証拠もなく自分の経験と思想のみで想像した日本を論文に書き込むこの悪習慣は、西洋の学問では徐々になくなってきたはずだ。が、特に海外から見る場合、日本の政治や社会は様々な角度から突っ込み可能なのは明らかで、少し前に政治学を覚えた学者には未だにこの種の態度が強く残っている。

日本に関して学問的好奇心を持ち、それを研究にする方は感謝したいと思っているが、政治科学としての学問をしっかり押さえている論文をしっかり評価するという姿勢は持ち続けていたい。

産経新聞「中国「戦狼」外交には公然と反論を 山上信吾前駐オーストラリア大使「主戦場は在外公館」」

日本の外交官には珍しい強気の対中態度を示す、興味深い記事だ。できればこれを日本語という柔らかい土俵の上で言うのではなく、リアルの英語の世界で繰り広げて頂きたい。



これほど度胸のある方なら、2021年までその機会を与えるのを待つのではなく、それ以前から対中でしっかり相手をさせるべきだった。また、そこまで強く思っていたのなら、現役の時に大きな改革を進めるべきだった。

いずれにせよ、この記事の大切な点は、

「私のように積極的に任地のメディアで発信・反論する日本の大使は極めて少数派だ。理由は複合的で、自分で論理を構成し、人前で意見を発表する機会がほとんどないという日本の学校教育の問題も一つだろう。そして外務省の中に、インタビューに応じ、反論することを評価しようという空気がないことも大きい」

という部分にある。外務省外の方がこれを言うのではなく、「元」内部の方が指摘している点が重要だ。できるだけ早い姿勢転換を求む。

大阪公立大学の英語公用語化について

物議を醸している大阪公立大学の英語公用語化。私は強く支持する。



素晴らしい試みだと思う。反対意見が色々出ているようだが、この種の改革がなければ日本の国力の活性化は達成されないし、日本の英語力問題は解決の方向に向かわない。

英語を導入することにより日本人の論理力が飛躍的に向上するだろう。実際に英語で物事を考え論文を書き、英語のわかる教授に採点して更に英語のトレーニングを受ければ、今まで日本語で受けていた授業との差が一気に浮き彫りになるだろう。

47ニュース「政界を揺るがした捜査のきっかけは、1人の「教授」の執念だった…」

大学教授が日本社会に貢献する好例がこの記事から読める。



大学教員は学生に政治活動を促すが、彼らの多くは自分で参加することはない。私の同僚3名はワシントンで開かれた 2017 Women's March に参加していたが。私は時折政治家に手紙を書いて自分の考えを伝えるが、普段デモに参加することも検察に行動を促すこともない。

この方の貢献は広く認識されるべきだ。
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