Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士課程を卒業し、アメリカ空軍戦争大学で教鞭を取った後、アメリカ中西部のセントルイス大学の政治学部で教えています。国際関係学、安全保障、東アジアの政治学を担当しています。ここ数年は日本の軍事力と文明間の紛争の研究を進めています。 このブログでの意見と表現はあくまで著者個人のものであり、必ずしも関係機関の政策を反映するものではございません。

政治・政策

拙稿「日本の北朝鮮政策をアメリカはどう見ているのか?」が出版されました

毎月連載させて頂いている治安フォーラムの最新号に、拙稿「日本の北朝鮮政策をアメリカはどう見ているのか?」が掲載されました。興味のある方はぜひご覧下さい。

ティラーソン国務長官の更迭

File_Gina_Haspel_official_CIA_portraitアメリカ時間の13日朝に突然発表されたティラーソン国務長官の更迭は、そもそも時間の問題だと思われていた。治安フォーラムの3月号での寄稿でも、そう述べていた。

CIA長官のポンペオがティラーソン後任として考えられていたことはその論文でも指摘していた。ただポンペオの後任として指名されたのは私が言及していたティム・カトン上院議員ではなく、ジナ・ハスペルだった(写真)。CIAの拷問プログラムの元責任者である。上院認証の過程は刺激的なものになるだろう。それでも彼女を選ぶということは、トランプも相当の自信を持っていることになる。

ただ仮に認証されたとしても、ハスペルが長く持つという保障はない。トランプ政権の閣僚の多くは前代未聞のペースで辞めており、特にキャリア役人に対して政権の風当たりが強い。トランプとハスペルが思想的に近いという保障もない。カトンのような人物を含む、トランプと波長の合う政治家に回ることも、時間の問題ではないだろうか。

ちなみにティラーソン更迭のニュースの数時間後に、その報道の仕方を問題視されたゴールドスタイン国務次官(公共外交・広報担当)もトランプによって左遷されている。

北朝鮮では何人がネットをやっていて、何人がフェイスブックをしているか

北朝鮮では何人がネットをやっていて、何人がフェイスブックをしているか?

再来週の授業ではアジアのサイバー問題を扱うのだが、その準備をしていて気付いたことがある。

のページによると、北朝鮮では1万4千人の人がインターネットをやっていて、同数の人がフェイスブックをしているという。

そのデータが具体的にどこから来ているのかは不明だが、面白い数である。少ないのか、多いのかはその人によるだろうが。私にとっては、インターネット使用者の数は予想以上に低く、FB利用者の数は予想以上に高かった。

セキュリティ・クリアランスの面接に招待されたら…

先日、連邦政府の職員から電話で連絡があり、私と面接をしたいと言う。私が面倒を見ている人間の一人が米国家のセキュリティ・クリアランスを申し込んでおり、その人間について少し話を聞きたいとのことだった。

私はその人間が米軍のトップシークレットに応募していることは、本人から予め話を聞いていた。そのような人間に一言評価を与えることは日本人には頻繁にはない機会だが、学問や政府職の業界にいる人にとっては知っておくべきことである。理由は、我々の同僚や大学院時代からの友人、担当している学生などで重要な政府職に応募する人が多いからである。

私の場合は安全保障を専門としていることもあり、空軍時代から何度もこの種の面接を依頼されている。空軍時代の同僚のクリアランスの更新のため、その周りの人間数名に面接が行われるためである。聞かれる質問は毎回ほぼ同じである。初めての方にとって重要だと思われる点が幾つかあるので、以下に述べようと思う。

1.政府職員から連絡がある前に、理想的にはそのクリアランスに応募する人間から直接打診され、その旨の説明を予め受けてある状態が望ましい。

2.仮に打診を予め受けてなく、突然面接の依頼が来ても、まずは驚かない。冷静に相手の要望を聞き、その対象になる人間について十分知っており、誠実に話をすることができると思うのであれば承諾する。

3.都合の良い場所と日にち、時間を相手に伝える。スケジュールに関してはこちらの要望に向こうを合わせるべき。私は特別な理由がない限り、職場(大学)で行う。

4.待ち合わせの場所で会ったらまず最初に身分証明をさせる。少なくとも2つのIDを提出させる。こちらの自己紹介は特にしなくて良い。もう既に向こうは知っているからである。私の場合などは米政府に勤務していたこともあり、既に調査で洗われているため、話は早い。

5.20個ほどの質問があるが、一つ一つ正直に話す。嘘がばれるとあなた個人だけでなく、話の対象になっている人間にとっても良くない結果を招きかねない。

6.最後に、リラックスして面接を行うべき。相手は政府の人間だが、所詮人間である。今回の私の場合は、その面接官が話好きで、過去の武勇伝を長々と話していた。キッシンジャーと出張に同行したことから中央情報局のいわゆる the farm での事など、中々他では聞けない話もしていた。あまりにも話が長いので、こちらから遮ったほどだった。

初めての場合は、多少のイメージトレーニングをしておくことも良いかも知れない。いずれにせよ特に構える必要はなく、意外に簡単に事は進んでゆく。これに関して何か質問がある方は、お気軽に御連絡下さい。

北朝鮮に脅威を抱くアメリカ人

今月行われたギャラップの世論調査で、アメリカ人の対外脅威のアンケートが行われた。ロシア、中国、イラン、北朝鮮の中で、どの国が最も脅威的であるか、というものである。

調査の結果は、半数以上のアメリカ人が北朝鮮を最大の脅威と見ているそうだ。日本でならともかく、こちらアメリカでも、最大の脅威はロシアのサイバー攻撃でも中国の軍事力でもなく、北朝鮮の軍事力なのだそうだ。

顕著な点は、この大きな変化は過去1年の間に起きていることである。つまりトランプ政権になり、北朝鮮からの脅威が増幅しているとの見方が強まったのである。

その原因には幾つかの要素がある。もちろん北朝鮮の核開発や長距離ミサイルの発展はアメリカ本土に脅威をもたらす。また、そもそもその脅威を増幅させたのはトランプ本人の威嚇声明などにも基づいているとも思う。どちらがどちらを起こしたか、という因果関係を証明するのは難しい。

しかしトランプ政権の言動にも多くの問題があるのは明らかである。そして今回のこの北朝鮮への見方も、トランプ政権の扇動が関係しているはずである。そして更に、トランプのこの扇動がアメリカ人の対外関係の見方に影響を与えているのは、あまり良い発展とは言えない。

加えて、アメリカに対する脅威は国家以外にも存在する。アルカイダやイスラム国、ロシアのファンシー・ベアからアノニマスまで、様々な脅威が存在する。それらを包括的に考慮すれば、より複雑な対外分析ができるはずである。





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