Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

ペンシルベニア大学政治学部博士号取得→アメリカ空軍戦争大学勤務→現在はセントルイス大学の政治学部准教授及び国際関係学科主任。専門はサイバー、国際安全保障。航空自衛隊幹部学校客員研究員(2016-18)

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ポスト・コロナ

Bizreach 「中国メガIT企業の激しすぎる働き方 土日出勤当たり前、それでも魅力の平均年収数千万円」

中国経済の情報は比較的入りにくいこともあり、少し新鮮に思えた記事だった。



確かに給与の点では魅力的かもしれないが、土曜出勤やいつでもクビにされるリスクなどを考えれば、理想的な環境とは到底呼べない。中国での生活、働き方や環境を考えれば、一歩踏み出すのがそんなに簡単なことではないと分かるはずだ。

状況が整っている中国人は中国企業で働くのではなく、こぞって西洋及びシンガポールに脱出しているだろうし、ポストコロナのこの時期に中国に移住したいと思う海外の人はどれほどいるのだろうか。


国際関係論のゼミの研究論文

今学期は私の国際関係論のゼミで研究論文を課題に出しており、履修生13名全員が自分で選んだ議題で書くことになる。

今週、そのテーマを決める締め切りがあったのだが、議題を学生と決める過程で気が付いたがことが一つある。

コロナ期に大学に入学した今の4年生の多くは高校の時の社会の授業をズームで受けており、論文の書き方や国際問題の考え方が例年と比べ少し劣っている。これは前から覚悟してきたことだが、この段階でやはり顕著に感じている。

4年生の多くは更に、大学1年2年次の授業をズームで受けている場合も多く、授業で行う議論への姿勢も比較的受動的だ。これは彼らの責任ではないのだが、研究論文の執筆や思考能力に否定的な影響を与えている場合があり、今学期は少しそれを感じながら授業を行っている。

それもあり、来週のゼミでは国際関係学の論文の書き方を2時間半かけて教える。

乗りものニュース「超早朝「品川4:35発」熱海行きの人間模様 東京駅発より早い列車 西への乗り継ぎどう変わる?」

「乗りものライター」たる職種は初めて聞いた。なんて羨ましい仕事だろうか。私もこの始発に乗ってみたい。




現代ビジネス「日本人が世界で「絶滅危惧種」になっていた」

衰退する経済強国の様子を表す、現実的な内容を含んだ記事だ。



アジア諸国では別の力学があるだろうが、ヨーロッパに限定して言えば日本人が観光に対して持つ考えはアウトバウンドよりもインバウンドだ。

私がここ数か月の間に訪れたドイツ、チェコ、ポルトガル、スペイン、イギリス、ベルギーに限って言えば、現地を旅する日本人の家族連れはほとんど見なかった。稀に見るのは新婚旅行のカップルだ。韓国人と中国人、台湾人、シンガポール人、そしてインド人が日本人を圧倒している。

これは円安のこの時期に限ったことではなく、日本経済の衰退が徐々に日本人観光客の行き先に影響しているものと伺う。

一方で、海外旅行ラッシュの時期以外にヨーロッパを見てもあまり参考にならない。そもそも経済的にも時間的にもゆっくり観光を楽しめるほどの中期休暇を取れる日本人の会社員とその家族は多くはないだろう。要はお盆休みにどこにどれくらいの期間で行くか、にあると思う。

今学期の授業が終了

火曜日で今学期のアジア政治学の講義が終了。あとは木曜日に期末試験を行い、その採点をするだけだ。

今学期のクラスは11名と、例年より少なかった。一方で秋学期は授業を2つ行うが、その一つのアメリカ外交政策の授業は既に22名が登録している。

他の授業との関係もあるが、私の大学の学生の興味が多少なりとも反映されていると感じる。

この授業を取ってくれた生徒の多くは穏やかな性格を持っており、議論も極めて友好的に行われた。特に1年生、2年生は4年生を含む上級生の前で緊張していたこともあったのだろうか。もしくはコロナの影響で高校生時代にズームばかりの授業を取っていたため、人の前で自分の意見を言うことにまだ慣れていなかった、というのもあるのかもしれない。

Asahi Globe 「寮はまるでハリーポッターの魔法学校 岩手に開校した英名門パブリックスクールの特色」

岩手県に開校したインターナショナル・スクールに関する記事。



私はこの種の学校を一般的に支持するし、この苦しい国内経済状況の中、よく開校させたと思う。長続きして欲しいとも思うし、他の学校も続いて欲しいと思う。

ただ一方で、コロナ以降の日本人は海外志向が弱まるのではないかと危惧している。もしそうなら、高校卒業後に海外留学する学生は限られ、国内大学進学の意欲が高まるのではないか。その場合、この種の学校が国内大学進学の準備にどれほど力を入れているのか、が知りたくなる。

少子化に加え、インターナショナル・スクールに対する日本人学生の需要は限られ、長期的な学校運営を困難にさせる。最初から卒業後の海外留学志望がほとんどだとするのはらそれは分かるが、その場合、高額な授業料と留学費用を捻出できる日本人家族は限られ、学校内のバランスを維持することに相当の労力が必要になるのではないか、と思う。

苦言になるが、この記事は題名を内容に合わせるよう変えるべきだと思う。学問の世界に関する記事を書くなら、題名もそれに順応するものを付けるべきだ。一方で「まるでハリーポッターの魔法学校」とするのなら、それに準じた写真を掲載すべきだ。

コロナのブースター接種

今週、職場でコロナのブースターを接種してきた。就寝前には受けた腕が痛み始めた。鎮痛剤が功を奏したようで、よく眠れた。今回は全体的に痛みが少なく、過ごしやすい。

昨日の報道によると、アメリカでは毎秋、コロナのワクチン接種を義務付けするかもしれないとのこと。

日刊SPA! 「ラーメン屋バイトでも月給は約50万円。脱サラしてカナダに移住した30歳男性」

分からないでもない、今後加速するかもしれない日本人の海外出稼ぎ。



時間的にも能力的にも移住できる人の数は限られるが、割合としては高くなることが予想できる。同時に、奨学金付きの大学院留学の数も、特に理系の分野で増えるのではないかと思う。

コロナの低学年生へのインパクト

この1年ほど授業をしていて気づいたことが幾つかあるが、その中で最も顕著なのが、大学1・2年生のやる気(授業に参加・集中する意欲、宿題をやってくる意欲、等)が著しく低下していると感じる点だ。今年4月のクロニクルを少し読み返していると、この記事に目が入った。ここに書かれていることがまさに私の教室にも起きていたのだ。



今学期の国際関係学入門の授業では中間試験が、前の学期とほぼ同じ内容(入門の教科書による宿題が基本)であったのにも関わらず、平均点が10点ほど下がり驚いた。多少なりとも予想していたので、私が行う講義のレベルも少し下げたのだが、それでも学生は苦労していた。彼らとの会話で明らかになったのは、今学期の生徒があまり宿題をしていなかった・できていなかった、という点だ。

原因はコロナ期における家族・経済・教育環境の変化にあると思う。ただより直接的な原因は、高校時代の授業がオンラインやビデオに移行し、授業が対面ではなく、ズームでもなく、ビデオを見て宿題を解くという過程の変化にあるだろう。加えて、教員もコロナの影響を受けているため、結果として宿題と評価の質も下がり、学生が宿題を提出しなくてもコロナが理由で「理解」され放置された。そして卒業するまでに培った高等教育のイメージを持ち続けて大学に入学し、大学レベルの難しい環境に慣れるのに時間を必要としている、という感じなのではないかと感じている。

もちろん問題の大部分は学生に起因するのではなく、コロナが社会に引き起こした影響が、学生にも大きく圧し掛かっているのである。我々教員の仕事はそれにどう対応するか、と努力することも含まれる。

対応の仕方は色々あると思うが、来学期に私が考えているのは授業内で学生間の結束を強め、学生の学びたいと思う気持ちを強めるために、個人の口頭発表かつ小グループでの議論と発表の場を増やすことだ。これは今学期の1年生中心の授業でも少しやってみたが、頻度は低かったのと、履修生の数が比較的多かったため、正直どこまで効果があったのかは分からない。来学期は2年生の授業を一つ、現時点で12名という少人数のクラスになるため、生徒と直接話す機会が増える。それを利用して個人の成長により多くの焦点を置き、学生間の連帯感を高めるよう模索しようと思っている。

すんごいズーム会議に出た

すんごいズーム会議に出た。

金曜午後2時から1時間の約束の会議。司会の準備は無し、議題も送られて来ず、不明確のまま会議開始。10名ほどの参加者からの質問やコメントも半分スルー。じゃあこんな感じで行きますんで、と10分で終わった。酷いね。うちの学部でこれやったら批判続出。
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