Politologue Sans Frontieres 「国境なき政治学者」

セントルイス大学政治学部教授。国際関係学科主任。元米空軍教員。

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2009年04月

ジョセフ・ナイ駐日大使の噂

ハーバード教授のジョセフ・ナイが次の駐日大使に任命されると噂されて早4ヶ月。私は少し懐疑的であったが、どうやら噂は本当なのかもしれない。正式な任命に関して日本語での記事やブログは未だに見つからないが、2週間近く前の毎日新聞の報道では、その事実が「確認」されている。

Japan expert Joseph Nye confirmed as next U.S. ambassador to Japan

... Joseph Nye has been confirmed as the next U.S. ambassador to Japan, a senior Japanese government official has revealed. ...

現時点での事実確認はできないが、ほぼ明らかなのはナイは日本のポストよりもインドのを望んでいた事、この人事が遅れた主な理由は大使職は重要性の順によって決められる事、などである。実は今日、我が学部の国際関係学科の会議でこのネタが出て議論になったのだが、その時点ではこの点について確証が得れなかったのである。

ナイが実際に任命されるまでもう遠くないのかもしれない。

今学期最後の授業

火曜は3時間の睡眠で疲れた体を引きずって大学へ。午前9時半、東アジア政治の授業で10分間だけ講義をする。その後は学部に顔を出し、11時から今学期最後のエイブリーの国際安全保障学の講義に参加。授業の前には先日決まった東大でのプレゼンの報告。そして昼食。

昼過ぎにはジムに赴きいつもの連中でバスケ。クタクタに疲れた後は、またもや今学期最後の私の授業の準備、疲れていえども気合が入る。4時から授業を開始し、来週の期末試験のおさらいに加え、私の方から devil's advocate よろしく、冷戦後の核戦略に関する挑発的な課題を出し、生徒からの反応を見ながら授業を進めた。中々刺激的な議論ができ嬉しさで満たされながら最後の授業を終わらせ挨拶をすると、生徒全員から盛大な拍手を頂いた。やってて良かったー。そしてやはり私は教育者としての立場が大好きだ。

授業の後、メールをチェックすると学部からの連絡で、今夏の東京での研究と秋のアメリカ政治学会のための出張費が全額下りる事になった。これでトロントでは4つ星の豪華ホテルに泊まれるぞーい!

東大でのプレゼンが決定!

先日書いた防大での講義に加えて、今度は東大でプレゼンをさせて頂ける事になった。嬉しー。日時は6月25日(木)の昼。英語形式のプレゼンで、9月にアメリカ政治学会で発表する予定の、東アジアにおける中国の台頭と日本の反応についての論文を、最新の国際関係学の枠組みに入れて語ります。国際関係学におけるヘゲモニー、民主化と戦争の関係、そしてここ数年のバズワードである「ソフト・バランシング」などの概念を織り交ぜて議論を進めます。

参加は無料ですが、ここではこれ以上の情報は流しませんので、興味のある方は私に直接ご一報下さい(yaponorry@hotmail.com)。

悪くない考え(日本の軍事)

この議論の背景を理解していないので自信を持っては書けないが、民主党の浅尾慶一郎氏が述べた、「敵基地を攻撃する能力が必要」という意見に一般的に賛成する。大切な防衛問題に一貫性の欠ける民主党だが、この意見は特に悪くない。

民主・次の内閣防衛相、「敵基地攻撃能力の保有必要」

ただ問題は、その能力は既に存在している磨B要はその事実を日本国民に正確に伝えるべきなのにも関わらず、朝日が誇張して反応してたまたま記事になっただけであろう。

日本の防衛で面白いのは、その潜在的な政治意図(「日本は軍国化する!」)が誇張されているのに対し、その実質的な軍事能力が過小評価されている点。アメリカにいると後者の意見を聞く機会が多い。例えば3ヶ月前に書いた記事に加え、東アジアの軍事問題の話をしていると仮定の話で、Japan might decide to rearm itself so... という表現もよく聞く。言葉の定義の問題もあろうが、現実はもっと先を進んでいる。

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Samuel Barber: Agnus Dei (Adagio for strings)

カチューシャ

ここ数日は睡眠4時間ほどの日が続いている。執筆と校正を繰り返す論文が2本と博士論文の執筆に追われていて、今朝は生徒に「なんでそんな疲れた顔をしてるんだ!」と指摘されてしまった。

今学期の授業は来週前半で終わり。後半から1週間休みに入るのでそれを利用してワシントンでインタビューでもしようかと思っている。

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ロシアの民謡カチューシャ。歌い手は12歳の双子姉妹! 軍服が良く似合う。
Sisters Tolmachevy Katyusha, Катюша Den pobedy 2007

印税の正しい使い方

印税という言葉を聞いて最初に思いつくのはもちろん、われらが毒舌王の有吉が猿岩石時代に得た印税をどう使ったのかという事である(=生活費)。

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今日の大学新聞から。

Prof's textbook sales aid charities

担当教授のエイブリーが、授業で使った本人の著作の印税を慈善事業に募金している。ここ3年続けているこの習慣が記事になった。本人に聞くと、生徒一人の購入で1ドル強入るという。クラスは全体で250名位だから、1学期で約300ドルの収入。それを「アメリカ赤十字」や「国境なき医師団」に送り国際協力に貢献し、一方で生徒本人が望む場合はその1ドルを本人に返すというもの。とてもいいアイデアだと思う。



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そんな彼に今日、夏の間に日本の大学で講義をすると伝えた。彼の返事は、

「あんまり問題起こすなよ」

世界でここにしかないフード・トラック

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世界ではここにしかない(似たようなのはあるだろうが)、その名もフード・トラック。これが何十と大学のいたる所に置いてあり、昼食時には学生らで賑わう。

後ろの建物は大学の学生寮。

愚痴るジョセフ・ナイと学問と政策のギャップ

もう一週間も前の記事になるが、ハーバードのナイ教授が政治学と政策のギャップについて論じている。

Scholars on the Sidelines
By Joseph S. Nye Jr.
Monday, April 13, 2009; Page A15

内容は、最先端の研究をする政治学者の多くが政府入りに興味を持たず政策への貢献を拒んでいるというもの。ナイはこの問題の根本は、政策面での研究・経験を報わない傾向にある学問の側にあるとし、政治学部はその態度を改め、学者を政府にもっと送るべきだと主張する。

学問もしくは政策に携わる人間ならどこでも聞く議論である。もちろん、これはナイ自身の過去の政権での経験に部分的に基づく、それなりの立場のある人間がすればより効果的に聞こえる、つまり自分の立場を利用した(と言われかねない)主張でもある。私に言わせればもちろんそれも正しいのだが(そして自分の状況にも当てはまる)、ただ一方でそれは「我々」のみの問題でもない。

政府やシンクタンクなどにも学問に対する懐疑論は根強く、私自身過去において結構なハードルに直面している。それらの懐疑論は基本的に個人的な意見と経験に基づき、どちらかと言えばデフォルトの部分によるものが多いと感じている。

しかし本来あるべく形はもちろん、学問と政策の協調、そして一致である。この2つの間には雇用、研究、資金などで未だに大きなギャップがあり、その溝を埋めるべく双方が努力をすべきだと思う。

日本の現状にも当てはまる興味深い議論である。私ももちろん将来は防衛・外交面での政府の仕事に興味があるが、その考えが本格的に現実的と成りえるのは本当に何年先のことだろうか。研究所にいる今年の6月、この面での更なる経験と新しい考えに晒されることを願いたい。

これは観るべし

http://www.youtube.com/watch?v=vMVHlPeqTEg

からかわれながらも怒らず、自分の実力のみで世界を変える瞬間。こういう映像に人生のインスピレーションを感じる。

ここに出ている歌手のスーザン・ボイルのウェブサイトはこちら。

アメリカ民軍関係の講義に参加して

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木曜は午後から、デューク大政治学部教授のピーター・フィーバー教授が来校。講義の内容はイラク戦争における surge 「戦略」にまつわるアメリカの民軍関係について。教授はブッシュ政権中にホワイトハウスでアドバイザーをしていて、その当時の経験を元に個人的な意見を発表した。とても面白かった。

質疑応答の時間では、イラク戦争開戦直前のシンセキ将軍のコメントとその「政治」に興味あったため、質問を二つさせて頂いた。シンセキ含む軍人とラムズフェルド・ウォルフォウィッツら文民の当時の関係に関するものと、シンセキが引退する間際にラムズフェルドに送った手紙の意味合いに関して。

ちなみにシンセキに関して研究されたい方は、場所は幾つかあるだろうが、その中でもカーライルの陸軍大学にも資料があると聞いている。

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イメージ:シンセキ将軍の問題発言の直後、火消しに回るウォルフォウィッツ。
http://video.thinkprogress.org/2008/02/wolfowitzshin.320.240.jpg
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