2021年06月
本稿では、国際関係学の理論を用い、第二次安倍政権時代の日本の外交政策を分析する。アメリカなど主に西洋の学問で繰り広げられる国際関係学の枠組みの中で、現在使われているいくつかの理論を用いて、2012年から2017年までの日本の外交政策をどのように説明できるのか検証する。論文の前半では、攻撃型リアリズム(offensive realism)、防衛型リアリズム(defensive realism)、リベラリズム、そしてコンストラクティビズムの四つの理論が各々どのようなスタンスを取るのか、最新の文献を用いながら説明する。それを元に、論文の後半では以下の二点に注目する。
第一に、安倍政権の外交政策はその多角性から、単に一つの国際関係理論では説明できない点を主張する。より有効な分析手段として、防衛型リアリズムとリベラリズムの組み合わせをここにて提案する。まず、防衛型リアリズムは主に日本の平和憲法と専守防衛政策の維持、そして日米同盟の更なる強化の二本柱を中心とする。従って攻撃型リアリズムが説くような、地域・世界覇権のための他国への軍事進攻及び核武装などの政策は、現代の日本の外交政策には極めて適していない点を説明する。
一方でリベラリズムは一般的に、民主主義拡散による平和(デモクラティック・ピース)、経済的相互依存、そして国際機構による平和構築の三点に注目するが、それらが平等に安倍政権の政策に当てはまることはなかった。2010年度半ば以降台頭した傾向は、アジア太平洋地域との経済関係を強化する意図が強かった点である。そのため、民主主義に基づく価値外交や国際機構制度の魅力を用いた平和構築というよりも、極めてプラグマティックな経済的側面が強いことがわかる。それにより、本来の防衛型リアリズムに基づく外交政策というよりは、実は活動的で広範囲にわたる経済ビジョンが中心になっていたのである。
第二に、安倍政権の外交政策は従来の日米同盟の強化と東南アジア諸国との連携強化に加え、南アジアを含む地域で成長を遂げる国家との協力関係を元に、戦略的な同盟相手を探すことを目的としていたと主張する。中国とは安全保障面での競争相手、そして経済的なパートナーとして複雑な関係を維持する一方、アジア太平洋地域における中国のプレゼンスをチェックするため、東南アジアと南アジアとの安全保障アーキテクチャの形成と経済ネットワークの強化を含んでいる。特にインドとの関係強化は顕著で、本稿では日印指導者間の交流と軍事協力、そして両国間の海外直接投資などが増加している点に注目し、中国とのライバル関係が継続されるうちは日印関係も強化し続けると予測する。
これらの点に注目し、安倍政権が今後としても経済重視、日米同盟の強化、そしてアジア地域への進出の傾向が続くものだろうと本稿は結論付けた。
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